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クリストファー・ドイル展を観に「8号橋」へ


キーヴィジュアルはマギー・チャン

 2020年のコロナ発生から現在まで、ずっと上海を拠点に活動している外国の有名人といえばクリストファー・ドイルです。それも、「上海に住んでいるらしい」という噂だけでなく、実際に普通に街を歩いていたりするため、とても身近な存在。私も一度、あるレストランで遭遇したことがあります。



 クリストファー・ドイルの名前は、香港映画好きなら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。『恋する惑星』『ブエノスアイレス』など、ウォン・カーウァイの映画で撮影を手がけているオーストラリア人カメラマンです。役者としても画面に映ることがあるため、ビジュアルも世界的に知られた存在。私も、中国で働くとはまったく思っていなかった学生時代から好きで、実家には写真集が置きっぱなしになっています。そんな人と同じ時代に上海で暮らしていたというだけで、大変だった去年のロックダウンなどが忘れられたりします。



そんなクリストファー・ドイルの展覧会が、5月14日まで「8号橋」で開催されていました。「8号橋」は、2000年代にオープンした複合施設です。1970年代に稼働していた自動車工場をリノベーションしたもので、2023年現在は雑誌『生活』『號外』『週末画報』『新視線』などで知られる現代伝播集団が本社を置く場所として知られています。


 展示の設営などは本人がやっていたそう。これまでに撮影した俳優たちの写真、映像がメインで、ウォン・カーウァイ映画の常連でもあるマギー・チャンがキーヴィジュアルになっていました。レスリー・チャンの貴重な映像などのほか、日本人俳優では柄本明が映っている作品も。会場全体がこじんまりしていて、いい意味で美術館らしさがないためか、クリストファー・ドイル本人の仕事場やノート、写真フォルダのなかを見たような気分にさせられる展覧会でした。



 コロナ前まで、上海の美術館やギャラリーは商業的な企画展が多すぎるという声が出ていました。ゴッホやモネといった有名画家の展覧会も、本物の作品をじっくり鑑賞するためのものではなく、イマーシブ空間や映えを楽しむものだったり。なのですが、ここ最近は昨年のロックダウンを経て地元のアーティストたちが描きためたもの、コロナ中に試行錯誤を繰り返したような作品展が増えてきているような気もします。今、上海のギャラリーはいちばんおもしろい時期なのかもしれません。



8号橋 上海市黄浦区建国中路8号
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